2024年10月7日発行
石破茂氏が総理大臣に指名されてから8日後に衆議院解散、そして総選挙の日程が決まった。おそらく戦後最速の解散である。自民党内では元々新総理のもとで、早く選挙を行いたいという願望はあったものの、もう少し与野党間で議論があっても良かったのではと思う。実際石破総理も総裁選最中には、ある程度の議論を闘わせて判断材料を示してからと言っていたのに、党内世論に押された格好となった。
パーティ券環流不記載議員についても、以前はすぐの党公認でなく、推薦や重複立候補を辞退させるなど、何らかのペナルティをと言っていたのに、ほぼ公認を許す判断が示され、この問題にけじめをつけないまま、選挙に突入となった。有権者の失望と反発は覚悟しなければならない。ペナルティは候補者にとって決してマイナスではなく、かえって陣営が引き締まる効果も持つことも判断に加えるべきだ。
また石破総理は金利ある世界目指すとしていたが、当面は利上げ環境にないとして、円安を招いてしまった。財政健全化路線を打ち出すかと思いきや、株価の急落に危機感を感じ、「経済あっての財政再建」と、岸田前総理のラインに戻ってしまった。相次ぐ軌道修正で、「石破らしさ」が薄れようとしている。為替相場や株式市場は元々過剰反応しがちな代物。一喜一憂する必要はない。中期的な安定や方向性を示せれば事足れりである。
石破内閣は党内基盤が弱いため、党内圧力に屈する構図となりつつあるが、総理大臣の権限はそんなに弱いものではない。大いにリーダーシップを発揮して、石に齧り付くような努力をして、「石破カラー」を堂々と出すべきである。それがこれまでの世論調査で、次の総理として常に1位を維持してきた根幹なのだから。
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