はじめのマイオピニオン - my opinion -
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海外協力隊60周年

 去る11月13日、東京国際フォーラムにて、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、JICA海外協力隊創設60周年式典が開催された。1965年(昭和40年)にスタートしたこの事業は、当初は年間で200~300名ほどの若者が途上国に派遣されたが、今や毎年1,000人ほどで、2年間の現地勤務のため、常時2,000人が派遣されている。これまでに延べ57,000人が途上国で汗を流した。

 私も30年以上にわたって協力隊を支援してきた。派遣人員の増員はもとより、二本松の第3訓練所(広尾訓練所の閉鎖で、今は2ヶ所)の建設、政情不安で派遣中断していたラオスに赴き、再開の目処を立てたことなど、懐かしい思い出である。途上国を訪問した際は、必ず隊員の慰労と激励もしてきた。

 海外協力隊はその規模に限らず、目に見える草の根の途上国支援事業として、世界から評価されている。協力隊のモデルとなったアメリカの平和部隊(Peace Corps)は、その派遣数では上回るものの、使用言語は英語のみであり、アメリカの世界戦略の一翼も担う。我が国の協力隊はあくまで現地の言葉をしゃべり、純粋にその国の人々のために活動している。

 もちろん協力隊事業には困難も伴う。派遣国には衛生環境が厳しいところもあり、感染症やマラリアに罹る隊員も少なくない。マラリアの予防薬であるストリキニーネを服用すると身体が怠くなるので、嫌がる隊員もいるが、極力服用して欲しい。かつて交通事故により、一度に5人も亡くなる痛ましいこともあった。

 しかし隊員たちは様々な困難を乗り越えて、与えられた職務を果敢に果たしてくれている。困難を克服した経験は、帰国したのちの隊員の活動に力を与える。地域の課題を解決する仕事、社会的に弱い立場の人々を勇気付ける仕事、子どもたちの悩みを解決し、将来の夢を持たせる仕事。彼らは日本の宝である。

 彼らが世界と日本を変える原動力となることを信じて、私はこれからもJICA海外協力隊事業を応援していきたい。

[ 2025.11.17 ]
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2025.11.10
国連の価値