はじめのマイオピニオン - my opinion -
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「人新世」を良くするために(入学式祝辞)

作新学院高校の新入生に贈るお祝いの言葉を、文字に起こして掲載した。話し言葉のため「です、ます」調になっている。
 
 入学式を迎えた新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。新しい学び舎の作新学院は、常に自分自身を新しくし、何事にもチャレンジし、最後まで諦めない能動的で主体的な人を作ろうと、日々努力しています。皆さんはその一員として頑張っていただきたいと願っています。
 
 さて皆さんもご存知のように、地球の歴史、取り分け生物の歴史を記録するときに、過去の地質に残された生物の特徴ごとに、いくつかの地質時代に区分されています。古い年代から先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代に大きく区分され、さらにそれぞれが紀・世に細かく分かれています。 
 例えば三葉虫が全盛を迎えた古生代のオルドビス紀、恐竜が跋扈(ばっこ)した中生代のジュラ紀、哺乳類が出現した新生代第三紀、そして人類が出現した新生代第四紀などです。さらに第四紀は258万年前からの「更新世」、1万2千年前からの「完新世」に分かれています。
 そして最近、完新世の後の地質時代として、「人新世(じんしんせい)」という区分を設けてはどうかという議論が始まっています。この時代は人類が農耕や灌漑によって地形を改変したり、経済活動によって温暖化を加速したり、核実験で放射性物質が急増したり、プラスチックゴミが大量に捨てられる時代です。起点が1830年の産業革命からという人もいれば、1945年の第二次世界大戦後からという人もいて、まだまだ定まっていないようです。
 新しい地質年代の作成に携わっているのが、国際地質科学連合という国際機関です。そこには既に「人新世作業部会」が設置されています。新しい地質年代が加わることはとても興味深く新鮮な感覚を持ちますが、その内容を聞くと、人類の負の部分が蓄積された地層とも受け止められ、あまりありがたくないようにも思ってしまいます。
 「新人世」という地質時代が後々の人々によりプラスに評価されるためには、今を生きる私たちが、戦争を起こさない、核のボタンを押させない、地球温暖化を阻止する、プラスチックなどのゴミを減らすなど、大いに努力しなければなりません。国連が決めた人類全体の指針であるSDGs(持続可能な開発目標)の17項目を、真剣に進めることも大切です。
  さらには昨年から騒がれているAI(人口知能)の急速な発展と、その適切な活用を実現することも、「新人世」を明るくしてくれるのではないでしょうか。ただしAIによって人々が怠惰になったり、仕事が奪われたり、意思決定を奪われたりしないことが肝心です。皆さんにはAIに取って代わられないような、個性やリーダーシップを身につけてもらいたいと思います。

[ 2024.04.08 ]
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