去る9月10日に極東のウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」にて、プーチン大統領と安倍総理の首脳会談が行われた。安倍総理は「北方領土の解決ののち平和条約を結ぶ」との、従来からの主張を繰り返したが、プーチン大統領は「まず前提なしの平和条約を結んでから考えよう」と混ぜ返しの議論を吹っかけ、問題解決の不透明さを露呈した形になった。
この首脳会談の評価は別の機会に譲るが、「遅刻」の常習犯で有名なプーチン大統領は、今回も予定より2時間半遅れたと報道されている。昨年の山口での会談では4時間遅刻したし、西側首脳との会談でも、30分から2時間の遅刻は当たり前となっているようだ。フォーラムはロシアの主催なのに、主催者側が遅れるのはどのような理由があっても許されるものではない。
しかし考えてみると、昔から勝負の世界や外交の世界では、この「遅刻」を戦略として使ってきたことも事実ではないだろうか。有名なのは巌流島の決闘で、わざと遅れてきた宮本武蔵に対して、剣の達人の佐々木小次郎が心を乱し、遂には負けてしまうという話だ。遅刻を意識的に使って相手を焦らすことは、我々の周りでも時々見聞するほどだ。
プーチン大統領は遅刻をこのような意味で活用しているのかも知れないが、これだけ常習となると、その効き目はどんどんなくなってしまうだろう。相手が織り込み済みとなるからであり、単に「時間にルーズな人」とレッテルを貼られるに過ぎなくなる。遅刻の癖は早急に直して欲しい。
ところで最近北方領土にビザなし渡航した方に話を聞く機会があった。彼が一番驚いたのは、現地では中国人、韓国人、北朝鮮の人たちが数多く働いていたということだ。日本は領土問題の解決を最優先にしているが、この間に他の国々がどんどん交流の実績を作ってしまっているのだ。日本も北方領土開発に「遅刻」しないように、積極的に関与しなければならないだろう。