はじめのマイオピニオン - my opinion -
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レジリエンスという概念

 今年の夏は殊の外災害が多かった。7月の大阪北部地震、西日本豪雨、そして9月の台風21号被害、北海道胆振東部地震である。犠牲となられた方々にあらためてお悔やみ申し上げ、被災された方々にお見舞い申し上げる。「天災は忘れた頃にやってくる」という格言は、今や「忘れないうちに…」と変更しなければならない。

 特に胆振東部地震では、北海道全域に災害救助法を適用しているが、1日も早い復旧を目指さなければならない。場合によっては常識を超える思い切った対応が必要かもしれない。同時にどの被災地でも、あの東日本大震災の時のように、被災者が落ち着いて行動しており、現場での助け合いも生まれている。日本人気質の良い面が再評価されている。

 ところで今回の一連の災害により、関西国際空港と新千歳空港が閉鎖された。国内ハブ空港の2つが同時に使用できなくなったことは、我が国の交通の脆弱さを露呈してしまった。観光とりわけインバウンドへの影響は大きく、半導体や精密機器の輸出など、物流にも支障を来している。我が国の経済だけでなく、世界経済のサプライチェーンへの影響は少なくない。

 また一時的にせよ北海道全戸が停電したことはショックである。北海道電力の約半分を供給する苫東厚真火力発電所が緊急停止し、道内の需給バランスが崩れて50Hzが保てなくなり、予防のために他の火力発電所も停止した。いわゆる「ブラックアウト」という現象である。一箇所の発電所が広域の半分を供給するという、システム自体が脆弱である。

 これらの教訓として、我々は重要インフラの災害対策を見直し、バックアップ出来る態勢にしなければならない。心理学用語に「レジリエンス」という概念がある。強いストレスを受けてもそれに耐えうる力、「精神的回復力」とも言われる。「脆弱性」の逆の意である。重要インフラにおいてもレジリエンスの強化に、真剣に取り組まなければならない。

[ 2018.09.10 ]