トランプ大統領の東アジア歴訪は、まず日本、韓国、そして中国の順番だった。個人的親密度を競った歴訪だったが、戦略的には習近平氏との関係が最も緊密であったかも知れない。安倍総理と文在寅大統領とは、北朝鮮にどう向き合うかが中心議題となり、それはそれとして重要な合意を得ることができたが、中国とは正に世界をどうするかという、基本的な議論が展開された点で注目される。
習近平氏は「広大な太平洋は中国と米国を包含するに十分な広さを持っている」と述べ、太平洋の東側は米国、西側は中国が統治するという中長期的な戦略を、暗に示唆したものだ。オバマ前大統領は習氏の同様な発言を遮ったが、トランプ大統領は黙って聞いていたという。
正に世界の東側を中国、西側を米国が取り仕切ることを、トランプ大統領が半ば認めた形となった。28兆円の米国企業の大型受注というお土産をもらいながら、南シナ海の海洋法を無視した中国の開発を認めたかに思える。
西太平洋の一角を占め、米国と強力な同盟関係を結んでいる日本としては、米中で勝手に太平洋を仕切られては堪らない。このような「新型の大国関係」に対して、我が国はもっと毅然とした態度でものを申していかなければならないのではないだろうか。