先日総務省は、2015年国勢調査の人口速報値を発表した。それによると昨年の日本の人口総数は、1億2711万人ほどで、前回の国勢調査が行われた2010年に比べて、94万7千人ほど減少した。実際の減少は15年よりもう少し手前と考えられるが、正式の調査で減少が確認されたのは、1920年の調査以来初めてのことだ。
我が国は世界に例を見ない超少子高齢化の道をひたすら走り続けていると言われて久しいが、このように具体的な数字で示されると、あらためてその影響の大きさを実感する。モノを買う人も減り、サービスを受けようとする人も減っていく。そうするとモノを作ることも減り、経済の規模もどんどん縮小して、国力が下がることは避けられない。
さらに深刻なのは人口減少に地域差があり、今後益々それが加速するということだ。今回の調査結果では39道府県が減少し、東京圏の1都3県、愛知、滋賀、福岡、沖縄の8都県のみが人口増加ないし横ばいとなっている。東京一極集中が顕著に現れているが、ここで注目すべきは沖縄である。他の地域は少子化による自然減と人口移動の社会減のダブルパンチに悩まされるが、沖縄は特殊合計出生率が1.9を超え、自然増によって人口増加を達成している。
沖縄では大家族の家が多いことと、子どもを地域全体で育てようという良き伝統が今でも息づいており、日本全体で見習う必要がある。また一方では人口の社会減を食い止めるため、地域の魅力を増す取り組みが急務である。政府は数年前から地方創生の取り組みを加速させるが、まだ効果を発揮出来ていない。
今回の調査発表をきっかけとして、出産や教育も含めた若者対策を、根本的に充実させること。また地方創生の諸施策のギアをもう一段上げることが急務である。