今回はやや物騒なテーマだが、将来起こりうる「若者の反乱」について考えたい。過去においては、学生運動が各国で起こり、社会現象ともなった。東大安田講堂事件に象徴されるような1970年代の日本における学生運動、「フランシーヌの場合は」という美しいメロディーの一方で、流血の絶えなかったフランスの激しい学生運動、さらにはアメリカ全土に拡がったベトナム反戦運動などである。
これらのいずれもが、当時の政治体制に不満を持ち、真面目に革命を指向していたが、理論に溺れ、大衆の理解を得ることはなかった。日本ではその後、一部の運動家たちが先鋭化し、または追い詰められて暴力集団となり、内部でリンチ殺人事件が発生し、赤軍派の浅間山荘事件を引き起こしてしまった。
沈静化したかに見えた若者の反乱だが、その後の「ビロード革命」においては、久しぶりに若者が燃えた。ただし今回は前回と違って、東西冷戦を早く終わらせるという、大衆も受け入れやすい大義があった。
最近の若者はどの国でも落ち着いているが、今後新たな反乱が起きないとも限らないのではないか。ヨーロッパではシリア難民が流入をはじめ、若者の職場が奪われようとしている。我が国では長年にわたる赤字国債の発行により、高齢者世代のツケを若者に押し付けようとしている政治に、「NO」を言いはじめている。まさに世代間戦争のはじまりと言っても過言ではない。
このような困った事態を防ぐにはどうしたらいいか。それは出来るだけ若者の意見を聞き、高齢者に手厚い政策だけではなく、若者が安心して勉学し、就職し、子どもを作り育てやすい環境を進める政策を採用し、実施することしかない。
同時に若者も大人としての責任をきちんと果たしてもらう必要がある。この夏から選挙権が満18歳に引き下げられるが、得票率が低ければ、いつまで経ってもシルバーデモクラシーが幅を利かす状況は変わらない。