平成21年9月に発足した消費者庁だが、現在7年半が経過した。所管する法律は消費者基本法をはじめ、消費者契約法、特定商取引法、景品表示法、公益通報者保護法など35本ほどに上る。私はかつて設置法を審査する特別委員長を担当し、その後も自民党消費者問題調査会長として、消費者庁を応援してきた。
新しく、非常に小さな役所ながら、消費者の安全安心のために、かなり良くがんばって来たのではないかと思う。もちろんまだまだ力不足のところもあるが、これまでの行政指導 から措置命令、そして行政罰へと、徐々に強制力を持たせる努力も続けられてきた。
今回は行政罰を発動する画期的なケースが起こった。昨年4月に施行された改正景品表示法では、虚偽や不当な表示を行うことによって、消費者に他の商品より優良だと誤認させたり、有利だと誤認させる行為を禁止し、それによる不当利益を吐き出させるという課徴金制度だ。
具体的には不当な売り上げの3%を国庫に納付させる他、事前申告した場合は半減、返済計画を作って消費者に還元している場合は課徴金を課さない。しかし還元が足りない時は、差額を課徴金として収めさせるというものだ。
対象は三菱自動車が販売した普通自動車と軽自動車で、宣伝した燃費を実際よりも5~10%よく見せかけて、消費者に優良誤認をもたらしたと推定できる。軽自動車については返済計画を実行中のため、普通自動車について、この1月に課徴金を課したものである。
もとより課徴金制度が発動されないことが一番だが、悪質な不当表示が後を絶たない現状では、今回の発動により「一罰百戒」の効果をもたらし、再発の抑止力になることを期待したい。
そして今後も公正な競争が行われる環境を業者に期待するとともに、万一不正があれば厳しく対処することで、安心して消費できる環境を作ろうとしている消費者庁を応援して行きたい。