はじめのマイオピニオン - my opinion -
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伊勢志摩サミットの成果?

 5月26日から27日にかけて、7年ぶりの日本でのG7、伊勢志摩サミットが、賢島のホテルで開催された。テロを警戒した大規模の警備のおかげで、テロや混乱もなく無事に終了してホッとしたところである。今回のサミットでは、本会議とは別のエクスカーションとして、オバマ米大統領との首脳会談での米軍属による殺人事件への対応、そして同大統領としては初の広島訪問と、大変慌ただしい日程だった。

 

 過去のG7サミットでは、経済政策のみならず安全保障政策においても、その後の世界をどう動かすかという点で、一定の影響力を発揮してきた。それはいずれの分野でもG7のボリュームは大変大きく、また首脳間の関心事項が似通っていたことに起因していた。

 

 ところが今回の伊勢志摩も含めて、最近のサミットにおいては、G7各国の国内事情が異なり、首脳間の関心事項もバラバラになりがちであるため、なかなか世界に影響力を与えることは、困難になりつつあるようだ。あまり使いたくはない言葉だが、G7サミットの「地盤沈下」が進んでいるように見える。

 

 今回のオバマ米大統領は、先日のキューバとの歴史的和解や、今回の被爆地広島訪問など、任期満了を目前にして、政治的レガシー作りに汗をかいている。また沖縄問題の対応に頭を抱えている。オランド仏大統領は、昨年発生したパリの無差別テロの後遺症を引きずり、テロ対策で頭が一杯である。

 

 キャメロン英首相は、来月のEU離脱か残留を巡る国民投票で頭が一杯であると同時に、亡父が税金逃れしたとパナマ文書で指摘され、頭を抱えている。メルケル独首相は財政出動に慎重姿勢を崩さぬ一方、増え続ける難民問題に頭を抱える。

 

 このような中、安倍総理が議長として必死で首脳間の意見を調整し、中国の海洋進出を牽制し、過度の税金逃れに対処する点では成果が得られたが、対ロシア政策や財政出動による世界経済の牽引という分野では、まとめ切ることが出来なかった。安倍議長の努力にもかかわらず、G7各国の思惑の違いがあまりにも大きかったのである。

 

 日本としては今後、来年に迫った消費税再増税の延期や、さらなる景気刺激のための財政出動、円高回避のための為替政策など、困難な課題を単独で模索して行かざるを得ないだろう。

[ 2016.05.30 ]