今年の3月から始まったアメリカのイラン攻撃は、幾度かの停戦や交渉が繰り返されてきたが、未だ解決の糸口すら見えない。この間にペルシャ湾の要衝・ホルムズ海峡の米イラン双方による閉鎖措置により、中東原油の大半が輸送できない事態が生じた。
そうした中、サウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」は、ペルシャ湾の港から紅海沿岸のヤンブー港までパイプラインで輸送し、バブエルマンデブ海峡から海外に輸出するルートを活用してきた。ところがその海峡も、イエメンの親イラン武装組織フーシ派により閉鎖され、パイプラインの一部もイランのドローン攻撃を受け、輸出の手段が再び奪われることとなった。
アラムコ側はパイプラインの早期復活を発表したが、紅海を北に登り、スエズ運河から地中海を通り、アフリカ喜望峰を経由する輸送ルートとなるため、時間も費用も従来の3倍も4倍もかかってしまう。輸入原油の値上がりや品薄が、また日本経済を悩ませ始めている。
ホルムズ海峡閉鎖の時は、ナフサの不足など大騒ぎだったが、その後は石油輸入先の多角化により、小康状態を保っていた。しかしここに来て前述のような新たな事態の発生により、また頼りのアメリカやメキシコの石油需給状況も逼迫しはじめており、石油危機が再燃している。
日本政府は、なお石油供給力は十分としているが、国民の間ではやがて足りなくなるのではという噂が絶えない。いま政府がやるべきことは、石油供給の現状を客観的に冷静に国民に説明し、更なる備蓄の取り崩しや、あらゆるエネルギー消費の節約への協力を訴えることではないか。ナフサを原料とする発泡スチロールやプラスチック容器の使い捨て削減も、かなりの効果が出るはずだ。第一次、第二次オイルショック時のパニックを教訓としている日本国民は、冷静に対応してくれるはずだ。