はじめのマイオピニオン - my opinion -
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消費税減税の懸念

 私は故・竹下登総理総裁の時、自民党遊説局長として「総裁遊説」の前座を務めたことがあるが、当時は消費税を初めて導入するかどうか、政権の命運がかかっていた。消費税の何たるかがまだ国民に理解されない状態で、とにかく反対、反対の大合唱。竹下総理に対する風当たりも酷く、ほとんど遊説の体をなさず、辛い思いをした。

 その後ようやく消費税は導入されたが、それと引き換えに1989年、竹下内閣は退陣した。消費税を3%から5%に引き上げた際も、これが一因となって当時の橋本内閣も1998年、退陣に追い込まれた。第2次安倍内閣の時には、それを10%へ引き上げることが課題となったが、先送りすることについて民意を測りたいとして、2015年12月衆議院を解散した。このように消費税とは、時の政府の命運を左右する一大事だが、この度の高市内閣における食料品消費税減税の議論では、そのような覚悟を政府首脳が持ち合わせているかは疑問である。

 確かに今年2月の衆議院総選挙の自民党公約には、食料品消費税減税の「検討を加速する」としたが、明言はしていなかった。一方、高市総理の前のめりの姿勢が目立っていた。その後超党派で組織された社会保障国民会議では、小野寺五典議長の必死の努力にもかかわらず、ほとんどの野党は自民党案に同調しなかった。

 私自身も安易な消費税減税は、一度立ち止まって見直すべきと言う考えである。本来は党内の関係会合に出席して意見を述べるところだが、出張続きのため、投稿の形でお許し願いたい。減税に反対の理由はおよそ次の通りだ。

①食料品消費税の1%への引き下げは、例え2年間でも合わせて10兆円の減収となり、景気回復に伴う増収は一定程度見込まれるものの、明確な財源が示されないままだ。
②①の結果として、我が国の財政運営に対する諸外国からの懸念が増加し、とりわけ円に対する信認が薄らいで、円安がさらに進みかねない。
③財政赤字が増加していけば、将来の社会保障費を賄う原資が目減りして、若者を中心に社会的な不安が惹起しかねない。
④円安が進めば輸入物価が高騰し、消費税減税の効果が半減、あるいは相殺される危険性が高い。
⑤食料品消費税が減税されても、食料品そのものの価格が下がるとは限らず、物価高対策や国民生活の安定には、結びつかない恐れがある。
⑥食料品を扱う外食産業や農家においては、資材や人件費を転嫁する術が狭められ、負担を強いられる懸念がある。
⑦一度減税した消費税は、2年後に元の税率に戻すことは容易ではなく、また戻すことによって物価高を誘発する懸念がある。
⑧以上のような減税に対する懸念を考えると、むしろ低所得者を中心とした給付による政策選択の方が、物価高対策としては遥かに合理的ではないか。

 このようなコメントを出すことにより、大変な苦労をしてきた社会保障国民会議の議長で、友人の小野寺五典氏に迷惑をかけることは本意ではないものの、我が国の財政の将来、ひいては我が国そのものの将来を強く懸念するが故に、敢えてもの申しておきたい。

[ 2026.08.03 ]