アメリカとイランの紛争が始まった2月末から、ホルムズ海峡の事実上の封鎖は3ヶ月が経とうとしている。その間、中東から日本への原油輸入はほとんど止まったままである。政府は国家備蓄を少しづつ放出し、ガソリン価格の高騰を抑えるべく石油元売りに補助金を出してきた。
それに加えて石油調達先をメキシコやアラスカ、オーストラリア、ブルネイなど多角化して、必要量の確保に躍起になっているが、その量はまだ圧倒的に少ない。また石油から精製されるナフサは、プラスチックやゴム、合成繊維、洗剤、塗料など、実に多様な生活必需品の原料となっている。このナフサもあちこちの場所で手に入りにくくなっている。
政府は石油もナフサも必要な量は足りているというが、一体いつまでホルムズ海峡の封鎖が続くのか、確たる見通しは全く立っていない。また必要な量が足りていることと、これまで通り石油由来の製品が容易く手に入ることとは別の話である。製品価格の高騰、大手企業による買い占め、流通の目詰まり、投機的動きなど、流通の現場では混乱が起きており、既に農業資材の不足や住宅建設の遅れが顕著となり、現場では悲鳴が上がっている。
また石油といっても、採れる場所により品質は異なり、精製工場での調整には困難が伴う。備蓄石油もタンクの下層部には不純物が溜まっており、備蓄量が全て使えるかというと、そういうわけにはいかない。マイナス要素ばかりあげつらった感があるが、これが石油や石油由来製品供給の現状なのである。
政府は「量は足りているのだから安心して使いなさい」「目詰まりが起きているだけだから、早晩解決する」と国民にアピールしているが、果たしてそれで済むのだろうか。節約、節電をここでお願いすると、折角景気が力強くなろうとしているのに、水を差すことになり、それを嫌がっているのかも知れない。
ホルムズ海峡の封鎖が今後早急に解ければ、今申し上げたことは杞憂に終わるだろうが、そうでない場合は政府は批判を受けるし、国民の間でパニックが起こりかねない。今のうちから少しづつでも節約を訴えて、「油断」の時間が長くなっても、ソフトランディングできるようなシナリオを、今のうちから考えて実行に移すべきではないかと私は思う。
念のために言っておくが、この考えはイデオロギーとは関係ないし、今の政府のためを思って述べていることであって、批判する意図は全くない。