トランプ大統領の2期目は波瀾万丈であり、今もその騒ぎが続いている。昨年の相互関税では各国が対応に追われ、ようやく落ち着いたと思いきや、新年早々のベネズエラ急襲と独裁政権の主、マドゥロ大統領のアメリカ移送、さらにはデンマーク領グリーンランドを手中に収めたいとの野望を露わにした。
主権国家の指導者を武力により奪うことは明らかに国際法違反だが、一方で独裁で抑圧された国民の多くが安堵している点を評価する向きもある。グリーンランドにしても、温暖化の影響で北極海航路の要衝となり、西側諸国の安全保障上コントロールしたくなる理屈は分からないではない。
しかしトランプ大統領にとってはこれらは口実に過ぎず、埋蔵量世界一と言われるベネズエラの石油の権益獲得が主眼であり、これまた世界に誇るグリーンランドのレアアースの獲得が、本当の理由とも言われている。
これまでトランプ大統領は「西半球を大切にしなければならない」「アメリカの裏庭には第三国を入れてはならない」と述べ、南北アメリカ大陸のコントロールを極めて重視する姿勢を示した。この動きは1820年代の「モンロー主義」を主導したモンロー大統領に似ている。しかし200年以上も前の出来事であり、世界の地図も環境も変わっている。
20世紀のアメリカは自由と民主主義、国際協調、法の支配という普遍的な概念のお手本だった。それを悉く破壊しようとしているのがトランプ大統領である。どうか歴史を逆戻しすることはやめてほしい。「世界の警察」が「世界の強盗」になる姿は決して見たくない。