先日の自民党と日本維新の会との連立政権合意の中に、衆議院議員の定数削減法案のこの臨時国会での提出と成立を期するとの項目が示された。維新にとっては憲法改正と同様、あるいはそれ以上の重きを置いた政策テーマという。
当初は比例代表の部分だけ45議席削減だったが、小選挙区にも手をつけるべきとの主張もあり、小選挙区25、比例区20の削減となり、しかもこの1年以内に実現しなければ、自動的に削減が行われるという、時限爆弾的な条項も加わった。
これに対して野党からは強い懸念や反対の意見が投げかけられた。特に公明党の斉藤鉄夫代表は「あまりに乱暴であり、民主主義の否定につながりかねない」と強い口調で批判した。私は小選挙区を含む議員定数の削減そのものには賛成だが、それを実現する今回の手法には、熟議をモットーとする民主主義の手続きから見て、懸念が残る。
私はかつて選挙権年齢を、世界標準とも言える18歳以上に引き下げる作業に携わる経験をした。憲法改正国民投票の投票権年齢を18歳にすると決めたのち、投票による意思表示には変わらないとして、選挙権年齢の引き下げ作業にスムーズに移行した。
座長としてこの作業に携わったが、一番大事にしたことはやはり超党派で話を進め、とことん話し合いをしたのち、極力全会一致で結論を出すことであった。この作業を終えるのに数年を要したが、各党異論なく成就したことに、今更ながら安堵している。
議員定数削減をはじめ選挙制度というのは、政党会派の別なく、全ての議員やその候補者の生殺与奪に関わることであり、だからこそ慎重に議論を重ね、出来る限り多くの政党が賛成する環境を作ることが求められるのだ。これは公職選挙法に限らず政治資金規正法の改正でも、同様に大切なことである。今後の国会での論戦をしっかり見据えていきたい。