先週土曜日に発足した高市総裁率いる自民党だが、目の前には様々な難問が待ち構えている。もちろん国民のためになる政策遂行には協力しなければならないが、スタンスの点で幾つかの懸念を申し上げなければならない。
まずはこれまで長きにわたって連立を組んできた公明党との連立交渉に、暗雲が垂れ込めていることだ。私は斎藤鉄雄公明党代表とは長い付き合いだが、高市新総裁と会談した直後の彼は今までに見たことのないほど、険しい表情でテレビカメラに収まっていた。
政治とカネの問題に対する安易な決着に対する懸念や、中道路線を切り離しかねない言動に対する疑念を、斎藤代表は敏感に感じ取っている。公明党との連立交渉を丁寧にやらない限り、他党との新たな連立交渉は行うべきではない。
もう一つは高市内閣の顔ぶれについて、既にマスコミが騒ぎ出していることである。自民党の役員人事は良いとしても、まだ首班指名されていないにも拘らず、予測や憶測で報道するマスコミには苦言を呈さなければならない。さらにはそのような情報を流す側近政治家には、猛省を促さねばならない。
この時点での閣僚人事の予測やリークは、他党に対して失礼に当たるし、増してや国民に対して極めて失礼である。マスメディアの間での熾烈な競争や、SNSでの新鮮な情報の貪りは、今の社会の宿命かもしれないが、少なくとも政治の世界の我々はこういう時こそ、謙虚で抑制的であるべきだ。