私は9月14日から21日まで、衆議院憲法審査会欧州派遣に参加した。1週間の間に英国のロンドン、EU本部のあるブリュッセル、ドイツのベルリンを回るという弾丸的訪問。しかも英国では5回、ブリュッセルでは4回、ベルリンでも5回のセッションをこなしたため、ほとんど観光なし、仕事オンリーの1週間だった。
我々の関心は、憲法改正に伴って行われる国民投票運動において、SNSでのフェイクニュースやターゲッティングを如何に防ぐか、各国の知恵や手段を探るものだった。EU各国はEU委員会が定めたDSA(デジタル・サービス法)に従って、投稿者のデータを開示する透明性の確保や、個人データを取得してその人の関心を引き出すような、ターゲッティングを禁止するものだ。これらに違反したケースは、プロバイダーに削除ないし是正を求めることになる。
イギリスはEUを離脱しているが、ネットは繋がっているため、投稿者を特定できるインプリントという制度を導入している。ドイツは、ナチスを台頭させた反省から、言論の自由を特に重視する立場に立ち、フェイクニュースや誤情報に対しては削除ではなく、それがニセ情報であることを提示(デバンキング)したり、前もってフェイクになりうるケースを提示(プレバンキング)することで、情報の公正性を確保するという。
各国の選挙運動や政治風土の違いを反映させながら、DSAをうまく取り入れている様子が分かったが、やはり若年層の時にSNSがフェイクを含んでいる前提で、そのまま記事の内容を受け入れず、他のメディアとの比較により、批判的に受け止める能力を養うことが大切だと主張する担当者が多かったことは、心に留めておきたい。いずれの知見も、我が国の国民投票法に付け加える努力をしなければならない。
ところで帰国する際、ベルリン空港などがロシアからと思われるサイバー攻撃にあって、システムがダウンして、マニュアルでチェックインする羽目になり、大変苦労した。まさにヨーロッパはウクライナ戦争のすぐ近くにあることを、図らずも体験させられた。