はじめのマイオピニオン - my opinion -
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派閥政治にピリオドを

 私は毎週このオピニオンを書き続けてきたが、今回ほど筆が重い経験は滅多にない。言うまでもなく自民党派閥のパーティをめぐる「裏金作り」が政権を揺さぶっているからである。私はこの事態を「裏金作り」と表現するのは、酷かも知れない。しかし大きな政治資金の流れが記載されず、行方が分からなくなることは、明らかに違法行為、国民の信頼を裏切る行為であり、決して許されるべきではない。

 私は現在平成研究会という派閥に所属しているが、訳あって休会を続けている。派閥のパーティは毎年あるが、私もパーティ券を売ることに協力している。私にもノルマは課せられるが、正直ノルマを超えて入金したことは一度もなく、したがって還流を受けたこともない。派閥としても還流によるお金の流れは、全て収支報告に記載されていると信じている。

 しかし今回の件は自分が該当しないから、自分の派閥が該当しないから知らんふり、というわけにはいかない。自民党全体が国民から懐疑の目で見られ、自民党議員が国民からの信頼を失いつつあるという、極めて危機的な状況に置かれているからである。場合によっては内閣総辞職に追い込まれたり、さらには政権から引き摺り下ろされたりする可能性だってある。

 岸田総理は先日の記者会見で、国民の信頼を回復するために「先頭に立って、火の玉になって闘う」と語気を強めたが、岸田総理ばかりでなく自民党議員全員が同様の腹を括らなければ、信頼回復は望めないと覚悟すべきである。

 では我々は何をすべきか。岸田総理は人事で疑いをかけられた大臣・副大臣を排除し、さらには派閥主催の忘年会、新年会、パーティは当面自粛すると宣言したが、これだけでは決して済まされない。茂木幹事長が、派閥パーティであっても党本部が監視・関与すると表明したが、これもまだまだ不十分だ。私は派閥そのもののあり方を根本的に見直さなければ、自民党に対する国民の深刻な不信感は払拭できないと思う。

 我が党のいわゆる派閥政治に対しては、昔から賛否両論が交錯していた。派閥間の切磋琢磨により政治の活性化につながるとか、擬似政権交代が行われるなどのメリットを挙げる人もいる。一方で、同じ政党の中で啀み合いや争いを助長したり、政治に金がかかり過ぎるのは派閥のせいだと、デメリットを挙げる人もいる。

 派閥を生み出す原因が中選挙区制度にあるとした、かつての政治改革により小選挙区制度が導入され、派閥の解消を目指した。確かに同じ選挙区で自民党候補同士が争う事態は無くなった。しかし姿や役割を変えながらも、派閥は生き残ってしまった。派閥の効用がないとは言えないが、弊害の方が大きいというのが人々の共通認識だ。

 以前に比べれば党本部の役割も権限も、かなり強まってきたように思う。政治資金も人事も、派閥ではなく党本部に集約しても支障はないはずだ。この度の事態を受け、むしろこれを好機と捉え、政治改革の原点に立ち返り、派閥の解消・廃止について本気で議論しなければ、一度離れた国民の信頼は取り戻せないと考えている。

[ 2023.12.18 ]