はじめのマイオピニオン - my opinion -
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ハードルが高い月面着陸

 昨年秋のイプシロンロケットの打ち上げ失敗、今年3月のH3ロケットの2段目の不点火、そして今回は民間のアイスペースによる月面探査機の着陸失敗と、日本の宇宙開発は黒星続きである。アイスペースの探査機は、高度センサーに異常が起きて十分な逆噴射が出来ず、月面に激突した可能性が大きいと言われている。

 ただアイスペースはかなり意欲的なミッションにチャレンジしていたようで、今回の月面に到達するまでのデータが、次のチャレンジに生かされるだろうと、楽観的な見通しを示した。実はこれまでに、月面に軟着陸出来た国は、アメリカ、ロシア(旧ソ連)そして中国の3カ国だけなのだから、諦めもつくし次回に期待が持てる。

 一方JAXAが国の威信をかけて挑んだH3は、打ち上げ直前になって取りやめたあと、詳細な検討と修理の結果、二度目の挑戦で1段目が打ち上げられたたにも拘らず、2段目ロケットに点火しないという、大きなミスを犯してしまった。旧型のH2Aが97%の打ち上げ成功率であり、しかもH3の2段目ロケットはH2Aと変わらないと言われているので、何が問題だったのか困惑してしまう。

 JAXAでは今、総力を上げて原因究明にあたっているが、我が国の宇宙開発のテンポが遅れることは避けて通れない。自民党科学技術調査会で文科省局長が、「緊張感を持って原因究明していく」と述べたが、私からはすかさず「悲壮感を持ってでしょう」と修正を願った。

 科学技術をはじめとする日本の組織や個人のパフォーマンスが、最近落ちてきているのではないかと危惧するのは、私だけではないはずだ。過去のプロジェクトでも確かに失敗はつきものだった。しかし失敗した後の日本人は迅速にかつ正確に、強靭にリカバーしてきたはずだ。このような日本と日本人の強い姿を、もう一度世界に示してもらいたい。

[ 2023.05.01 ]