2020年1月から感染拡大が始まった新型コロナウイルス感染症、これまで6つの波が確認され、2年3ヶ月が経過した。100年前のスペイン風邪は、記録によると1918年2月から20年4月までで、2年2ヶ月で収束している。100年後の現在、公衆衛生が向上し医療技術も進歩しているのに、なかなか終息しないのは何故なのだろうか。
原因はまず、グローバル化や移動手段の発達で、国境を越える人々が格段に多くなったことである。またスペイン風邪の時は感染拡大がなすがままで、結果として「集団免疫」が構築されたと思われる。よってスペイン風邪の日本の死亡者は約60万人、コロナウイルスのそれは3万人と、20倍の開きを示している。今回は死亡者を抑えるためにワクチンを打ち、感染を防止したために、時間がかかっていると考えるべきだろう。
スペイン風邪と同様、コロナも変異株が登場するたび、感染力は強くなる一方で、重症化率は下がる傾向を示している。新規感染者が多いのに病床使用率が上がらないのはこのためである。若い人々は症状が軽いか無症状が多いが、高齢者や既往症のある人のリスクは依然として大きい。したがって若者が高齢者に感染させないことが大切だ。また後遺症も少なからず認められるため、感染防止対策はなおきちんと取らなければならない。
しかし我々はそろそろ、新型コロナウイルス感染症の「2類相当」を変更すべき時を迎えているのではないか。コロナ陽性者は現在、感染症法により保健所に即刻報告され、入院勧告がなされる。就業停止も義務付けられる。ジフテリアや結核もこれに当たる。
しかし最近の重症化率の低下を受けて、インフルエンザと同様の感染症5類相当にして、保健所通知を7日以内に延ばし、入院や就業停止を要しないレベルにする時が来ている。もちろんメルクやファイザー、塩野義製薬の飲み薬が、全ての病院・診療所に完備されることが条件だが。
飲食店や旅行業者をはじめ、多くの企業や個人が行動制約の中でもがいている。子どもたちも2年以上にわたってマスクをつけ、学校行事もままならない。1日も早く日常生活を取り戻し、経済活動を正常化させなければ、社会は根底から傷つき、過去を取り戻すことが出来なくなる。政治決断が求められている。