医療関係者の優先接種に加えて、いよいよ65歳以上の高齢者に対するワクチン接種が、本格的に始まった。当初懸念されていたワクチン供給量は、十分ではないにしても8割方は既に目処が立ったようだ。さらに需要に応えられるように、ファイザーやモデルナに対して、もう一段の供給努力を政府に要請したい。
一方接種する側のスタッフの不足はあちこちで明らかになっている。このままでは政府が打ち出した7月末までの高齢者接種完了には程遠い。医師・看護師はもとより、歯科医師、休んでいる看護師、医学生、自衛隊の医務官や看護官など、最近になってさまざまな医療関係者を総動員しつつあるが、適切な報酬と研修を早急に整えて、スタッフの量を拡大していがなければならない。
また自治体の中には、接種予約の窓口が混雑、混乱しているところも散見される。高齢者の中には付き添いが必要だったり、かかりつけ医との繋がりが強く、柔軟な対応が出来なかったりするケースが多く見られる。これらの事情を日頃から把握している民生委員や保健師、地域医療を専門としている医師などが、積極的に予約作業に関われる態勢を築くべきではないだろうか。
また予約システム全体を民間に委託している自治体も少なくないが、コールセンターでの応対を単純なマニュアルで運営しているために、高齢者の不安を煽ったり、トラブルを発生させているケースが目立つ。慣れるための時間も必要だが、自治体担当者がもっと積極的に関与していくべきではないだろうか。
また変異ウイルス拡大に伴い、教育現場や保育現場での感染がじわじわと増えている。変異ウイルスは若者や年少者でも感染しやすく、重症化しやすいとも言われている。保育士と幼稚園教諭、小学校低学年の担任などに対するワクチン接種は、高齢者が済んだ後で重症化しやすい基礎疾患保有者と並行して行うべきと思う。
ワクチン接種をスムーズに行うためには、国民の冷静な対応と、国と自治体の連携プレー、自治体のきめ細かな配慮がなによりも大切である。