世界中がコロナ禍で喘いでいる中、少し明るいニュースが聞けた。アメリカのバイデン大統領が就任してから、まもなく2ヶ月になろうとしているが、バイデン政権の運営手法がとても丁寧で手堅いという評価があり、同盟国のみならず多くの国が、ホッと胸を撫で下ろしているのである。
先日はバイデン政権の中核であるブリンケン国務長官とオースチン国防大臣が、日米「2プラス2」の会合に出席するため、ともに東京を訪れた。彼らの初めての外国訪問に日本が選ばれたことは、同盟国として頼もしい限りである。バイデン政権の特別の配慮があったのだろうか。
日本側はカウターパートである茂木外務大臣と岸防衛大臣が迎えたが、会合のテーマは、安全保障や経済分野における中国の脅威にどう立ち向かうか、新疆ウイグル自治区や香港における人権抑圧問題への対処、台湾問題、そして北朝鮮の核ミサイルや拉致問題、さらにはオーストラリア韓国インドとの連携を視野に入れたインド太平洋地域の平和構築など、重要かつ広範囲にわたった。日米はそれぞれのテーマにおいて基本的に合意した。
この後韓国を訪れ、間髪を入れず中国との直接対話をアンカレッジで開いた。米中会談は終始非難の応酬という厳しいものだったが、同盟国とのコンセンサスを構築した上で難問に立ち向かう段取りは、トランプ政権ではほとんど見受けられなかった。突然のトップ会談やツイートにより、常に世界を驚かせ不安に陥れていた。バイデン政権の外交のスタイルは、我々に十分な安心感を与えるものだ。
ブリンケン国務長官は東京での会談で、盛んに民主主義の大切さや素晴らしさを語っていた。そこで思い出すのがウィンストン・チャーチル元英国首相のことばである。「民主主義は最悪の政治形態らしい。ただし、これまでに試された全ての形態を別にすればの話であるが。」
色々と問題のある制度だが、民主主義が最も優れた統治手段であるということだ。バイデン政権がこの認識のもとで、崩れかけた世界のアメリカへの信頼を、着実に回復していって欲しい。