中国武漢から始まった新型コロナウイルス感染症は、韓国、日本、イラン、イタリアそして米欧各国に波及しつつある。慎重姿勢を示していたWHOも、最近ようやく「パンデミック」と認めるに至った。
政府の専門家会議では先日、「日本は爆発的な感染に至らず、なんとか持ちこたえている状況」との見立てが示されたが、これは大規模集会の延期や中止、小中高校の一斉休校の効果が一定程度あったと見るべきか。しかし決して手を緩める状況にはなく、これからさらに10日から2週間は我慢をしなければならない。
こうした中、政府の緊急対応策第2弾が3月10日に発表された。これは自民党の対策本部の提言を十分に反映させたものである。今年度予備費から財政措置約4300億円、金融措置総額1兆6000億円を投入して万全の体制を整えることとした。
具体的にはマスクや消毒液の供給改善、PCR検査体制の強化、医療供給体制整備と治療薬開発、学校の休業に伴う保護者(正規、非正規、フリーランス問わず)への助成金創設、放課後児童クラブへの支援、学校給食休止への支援、中小企業への雇用調整助成金支給、無利子無担保の特別貸付制度創設、行政手続き期限の延長など、広範で思い切った対応を実行に移す。
ここで重要なのは政策実行の末端や窓口における柔軟な対応であり、この際「お役所仕事」は綺麗に払拭しなければならない。
また拡大防止を目指して、政府に一定の強制力を持たせる従来の「新型インフルエンザ特別措置法」を改正して、この度の新型コロナ感染症にも適用することとした。それによる緊急事態が宣言されれば、イベント中止・自粛要請や一斉休校措置を要請する根拠規定が出来ることとなる。しかし私権制限を伴う場合もあるため、極力国会承認を経ることは当然である。
この度の新型コロナウイルス感染症の発生は、国内外の経済に深刻な影響を与えつつある。インバウンドの激減による観光業、イベントの自粛による飲食業やホテル業、サプライチェーンの機能不全による自動車などの機械産業など、あらゆる分野・職種に類は及んでいる。感染症の広がりがいつまで続くのか、先が見通せない点も人々の不安を助長している。
新年度予算審議も大詰めに来ているところ、異例ではあるが予算成立後直ちに補正予算を組んで、経済の下支えを強力に行わなければ、日本経済は壊滅的打撃を受けるだろう。新型コロナウイルス感染症に打ち勝つためには、今がまさに正念場である。