昨年民法が改正され、いよいよ令和4年4月から大人の年齢が20歳から18歳に引き下げられる。そのための準備が少しずつ進められている。次の臨時国会で私は、将来の成人式の持ち方を検討する内閣部会・成人式ワーキンググループ座長として、一定の結論を出したいと考えている。最終的には自治体などに委ねるが、18歳の1月は大学受験と重なるため、これまでの成人式に代えて、20歳を祝う会を行うことを軸としてまとめて行きたい。
もう一つ重要な準備は、若年者の消費者被害を防止するための、学校教育における消費者教育の推進である。現在でも20歳になると自由に契約が出来るが、一方親権による取り消しが出来なくなる。これにつけ込んで、悪徳業者が集中的に若者を狙ってくる。成年年齢が18歳になれば、彼らのターゲットは今度はそこに集中する。それに引っかからないための実践的な教育を行うため、高校生全員に『社会の扉』という副読本を配布して、消費者教育をサポートしているが、地域により、また学校によりばらつきがあるので、万遍なく普及する必要がある。
ところで消費者教育にはいくつかの段階がある。高校生に限ったことではなく、大人の教育にもつながることだ。第1段階としては消費者被害に遭わないための、プリミティブな教育である。第2段階としては、「サステイナブル」な消費、「持続可能」な消費行動を取るための教育である。主に環境に優しい消費行動を目指して、最近話題となっているプラスチック製品の廃棄を避けるため、レジ袋を使わないようにしたり、ストローを分解可能なプラスチックや紙製にして、割高なコストを受け入れるなど、行動パターンを変えていくことだ。
しかし私たちはさらに進んで、第3段階である「エシカル」消費、あるいは「倫理的」消費を目指すことも視野に入れたい。途上国において安い労働力で作られた輸出品を買うのではなく、少し高くても適切な報酬の元で作られた輸出品を買うことにより、途上国の貧困をなくす一助になる「フェアトレード」などが、その典型である。その人の消費が貧困や社会問題の解決になるような、倫理観に裏打ちされた行動にまで進化することが、将来的には望まれる。
まずは若者が消費者被害に遭わないことが当面の課題だが、やがて「サステイナブルな消費」そして「エシカル消費」につながるような消費者教育を進めていきたい。