まだまだ先のことと思っていた東京オリンピック・パラリンピックが、もう一年後に迫ってきた。新国立競技場をはじめとする各競技場も形を現し、聖火リレー申し込みやボランティア申し込みも始まり、準備が本格的に動き出している。
そうした中、オリンピックに出場する日本代表選手の選考も着々と進んでいる。先日東京八王子で開催されたスポーツクライミング・ワールドカップ大会男子複合では、宇都宮出身の楢崎智亜選手が見事に断トツの優勝を飾った。この結果来年の東京オリンピック日本代表に内定した。栃木県勢では一番乗りだ。
実はこの楢崎選手は、作新学院幼稚園、小学部、中等部の卒業で、在学中は時々教室からいなくなるので、教員が探したところ、いつも高い木の上にいたという逸話も残っている。同じ大会で5位に食い込んだ弟の楢崎明智選手も、幼稚園、小学部の卒業生である。オリンピック代表のあと1枠を明智選手が取れば、兄弟出場の夢もある。
兄弟ともとても聡明で礼儀正しく、時々母校を訪ねてくれて、近況報告してくれる律儀さもある。律儀さといえば、リオ・オリンピック金メダリストの萩野公介選手も、節目節目に母校に顔を出してくれる。今年春のスランプを克服して、東京大会の切符を獲得すべく、今はスペインの高地合宿で、汗を流している。来春の水泳日本選手権で一発勝負となるが、必ず成し遂げられると確信している。
彼らに共通するところは、自分のことだけではなく、他の人々に常に気を使っていること、自己には厳しく他には優しく接していることではないか。技能や腕力だけでは頂点に立つことは難しく、深い人間性が彼らを頂点に導いていると痛感している。作新学院の全人教育が、その一部でもお手伝いできているのなら、これに越した喜びはない。