去る5月1日に天皇陛下が御即位され、元号が令和となってから初めての臨時国会がスタートした。参議院本会議場で開催された令和初の開会式に、天皇陛下は初めてご臨席された。最初はやや緊張されたご様子だったが、お言葉はとても落ち着かれていて、お振る舞いも堂々とされていた。
この臨時国会は、現行憲法が施行された昭和22年5月20日召集の第1回から数えて、199回目に当たる。今秋に予定される次の臨時国会で、200回という大きな節目を迎えることとなる。国会には通常国会、臨時国会、そして特別国会の3種類があるが、種類にかかわらず通し番号が付与される。72年間に200回だから、1年間平均2.8回開催して来た勘定だ。
私は昭和54年10月の衆議院選挙で初当選したが、直後に開かれた第89特別国会は大揉めだった。「一般消費税」を掲げて解散に打って出た大平内閣が選挙で数を減らし、党内非主流派が大平首班指名に難色を示したため、1ヶ月以上にわたり本会議が開けなかった。いわゆる「40日抗争」である。
それから40年が経過し、私は途中で落選のため、かかわれなかった国会も数回あるが、ほぼ100回近い国会に関与してきた。この間、多くの先輩たちが引退し、初当選同期生も麻生副総理だけとなった。しかし国会における議事進行の方法や慣習は、ほとんど変わらずに踏襲されている。変わったといえば、当院の際の名札が手動からタッチパネルになったくらいだ。
一方院の組織については、時代の変化に応じて新たなものが生まれている。直接私が担当している憲法審査会、政治家の不祥事を扱う政治倫理審査会、特定秘密保護法の成立に伴う情報監視審査会、党首討論を扱う国家基本政策委員会などである。なお参議院では比較的柔軟に調査会を設置している。
民主主義の根幹である多数決の原理が変わらない以上、国会での議事運営のルールは変わらないし、変えてはいけないものだ。時間がないからとか面倒臭いからといって、この手続きを端折ることは許されない。民主主義の大切さはチャーチルの次の言葉で言い尽くされている。「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」
しかし世の中は以前より変化が激しく、改善すべき問題も複雑多様化していることも事実である。今後は多様化する問題に対して、国会がその組織や構成を迅速・柔軟に変えて、適切に対応出来るようにすることも、極めて重要である。