長かった参院選もようやく終了した。結果的に与党の勝利に終わったが、一部野党も巻き込んだ改憲勢力が、引き続き参院で3分の2を確保できるかどうかは微妙であり、政界やマスコミの注目度が高まっている。
確かに衆議院と合わせて改憲勢力が3分の2を確保していることは、今後の改憲議論を促進するために、大切な要素の一つではある。しかしこれまで改憲議論に深く関わっていた私としては、絶対条件ではなく、むしろ議論を難しくしている側面も指摘したい。
両院で3分の2を確保していることは、確かに改憲のハードルを下げていることであり、このことが改憲に慎重な多くの野党にとっては要注意である。そのため必要以上の警戒心を抱かせ、審査会での議論になかなか応じないという影響を与えている。
誤解して欲しくないが、警戒をさせないようにと選挙に手心を加えるべきだとは毛頭考えていない。要は3分の2を超えていようといまいと、憲法改正の現場では冷静な話し合いが大切だということだ。野党との話し合いがきちんと行われ、出来れば一部野党との合意を得て、改正原案が作成されることが理想である。
憲法改正手続きにおいて、最も難しく重要なことは国民投票である。与党あるいは他の改憲勢力が強引に改正原案を発議した場合は、国民投票でしっぺ返しを食らう危険性がある。与野党が冷静に話し合った上で、結果として野党が反対であっても、国民投票は上手くいくはずだ。
政治は結果が全てという場合も多いが、憲法改正においてはその過程が大切であり、それを国民に見せることがより大切だと思う。