いよいよ時代は平成から令和へと替わろうとしている。30年前の改元は昭和天皇の崩御という慌ただしく、また悲しみの中で行われたため、心に余裕を持って新元号を受け止められなかったのは、私だけではなかったはずだ。
今回は打って変わって、多くの国民が平成という時代を振り返り、その評価や反省、懐かしさを吟味する時間を確保することができたのではないか。さらには新しい令和という時代がどのようなものになるのか、どのような時代にしたいのか、期待と不安を感じ取ることもできたのではないだろうか。
令和の時代は「人々が心を寄せ合い、新しい文化が生まれ育つ」という言葉の由来からも、平成の時代にも増して人々の絆が高まり、生活上の幸福度が高まることを期待したい。しかしながら既に人口減少が日本経済の足を引っ張りはじめ、AIやIOTが人間から仕事を奪いかねない勢いを待ちはじめ、世界では民族や宗教の対立からテロや紛争が拡大しつつある。
我々がとるべき態度は、事態が悪化する原因をただ憂えるのではなく、様々な知恵を集積し、国や地域や仲間で力を合わせ、これらの原因を一つひとつ丁寧に、諦めずに潰していくことではないか。「心を寄せ合う」「文化が生まれ育つ」とは、まさにこのような人々の姿を表しているのだと思う。