学校教育にも携わる私としては、この時期各学校種の入学式に何度も出席することになる。まだ平成31年度ではあるが、まもなく令和元年度になるという慌ただしい中である。様々な年齢層に語りかけるため、喋り方には相手を見ながら対応しなければならず、なかなか苦労するところだ。
しかしどのような年齢層でも、必ず述べることを決めている。それはまずAI(人口知能)時代においても、AIにとって替わられない人間力を身につけて欲しいということだ。具体的には「そうぞうりょく」であり、想像力でもあり創造力でもある。
想像力とは自分の行いが周囲にどのような影響を及ぼすか、相手にどういう思いを抱かせるか、よく考えることである。自分さえ良ければいいという態度とは真反対にある態度である。また創造力とは言うまでもなく、これまでの伝統にとらわれず、新しいものや新しい考え方を作っていける能力である。
もう一つ述べていることは、diversity(多様性)を大切にして欲しいということだ。自然界は様々な木々、様々な動物、様々な昆虫がいて、均衡が保たれている。しかしそこに人間の介入があってバランスが崩れると、生態系がおかしくなって絶滅する種が出てしまう。
世界には様々な民族、宗教、伝統があって、多様な社会が成り立っている。これに対してアメリカをはじめ各国が多様性を排除して、民族や宗教の純化を図ろうとして、摩擦が生じている。世界の良好な秩序が浸食されようとしている。
「そうぞうりょく」と多様性を大切にすることが、未来の世界と日本を救うことになると信じて、若い人々に語りかけることを、これからも続けて行きたいと思う今日この頃である。