我が国が一年間に、食べられる状態の食品を廃棄している量は、なんと650万トンを超える。この量は日本のコメの生産量に匹敵し、世界の飢餓を救うことが出来る量だとFAO(国連食糧農業機関)が指摘している。「食べられる食品」とは、それを摂取することによって健康に影響を及ぼさない段階の食糧を意味し、「消費期限」に近い概念である。
これを越えて健康に影響を与えかねないものは、食品リサイクル法の範疇に入り、家畜用の飼料などとして流通されることとなる。この度、超党派で「食品ロス削減推進議員連盟」が設立され、「まだ食べられるのに廃棄される食品」を官民挙げて出来る限り削減するための議員立法を、早期に成立させることを目的とした。会長は自民党食育調査会長の山東昭子氏だが、私も消費者問題調査会長の立場で会長代行に就いた。
この活動は国連SDGsが掲げる、持続可能な社会の実現を後押しするとともに、世界の先進国としての責任を果たすことにつながる。また国内的には、子どもたちの貧困が問題視される中、フードバンクに食糧を提供する企業群や、「子ども食堂」への食材提供を行う団体の活動に、勇気と力を与えることになるのではないか。
また個人的には、レストランで食事を食べ残した後、家に持ち帰るという行為もあるが、それにより健康被害を受けた場合は、基本的に自己責任となる。このあたりの制度の整理も、いずれ考えなければならない課題だ。