最近は新幹線に乗ると、欧米系のツアー客が非常に増えたと実感する。一方中国からのツアー客は、日中関係の悪化から目に見えて減少している。最近のインバウンドの増加は、やはり円安の影響が大きいようだ。その結果、オーバーツーリズム現象があちこちで発生して社会問題となり、観光地でも都市部でも、ホテル宿泊料金がインバウンド仕様で高くなりすぎ、日本人が利用しにくくなっている。
一方、日本のGDPがドイツに抜かれて久しいが、まもなくイギリスとインドに抜かれて、6位に下がる可能性があるという。世界のGDPにおける日本のシェアも、1995年当時は17%あったものが、2025年時点で3.8%にまで落ち込んでしまった。一人当たりGDPはさらに下がって、30位前後と低迷している。
日本のGDPのシェア急落の原因は、まず昨今の極端な円安によるところが大きい。先ほどのインバウンドの増加も、この現象の結果である。さらには「失われた30年」とも言われる、長期間にわたる低成長も原因の一つだ。円相場はその需給関係によって決まるが、円安の影響は国力の低下につながるほか、国民生活の相対的な水準の低下に直結する。極端な円安とその継続は早急に是正しなければならない。
どうすればこのような長期低落傾向に歯止めがかけられるか。今年の骨太方針で示された成長17分野への積極投資は一案である。しかし早い段階で果実を得るためには、優先順位を付けておかねばならない。さらに公の資金だけではなく、民間資金がそれに連れて動かなければ、新たなお荷物を抱えることになる。
さらに様々な規制を思い切って整理・削減することも不可欠だ。基礎研究の成果を社会実装する途中に、いわゆる「死の谷」が存在することはよく知られる。かつての死の谷は資金不足によってもたらされたが、今は厳しい規制によってもたらされることが多い。様々な規制のために、開発が遅れたり断念させられるケースを、嫌というほど見て来た。
また人口減少を食い止めることも有効な手段だが、当面は大変困難だ。人口減少をうまく吸収するためには、秩序ある外国人労働者受け入れ、さらには一定地域に人々がまとまって住んでいただく「コンパクトシティ構想」の推進も有効だ。拡がってしまったインフラをコンパクトにまとめ、行政コストを下げることを考えたい。
そして日本の伝統文化や、世界遺産にも選ばれた日本食の普及、漫画・アニメの海外展開など、「ジャパンクール」と呼ばれるコンテンツで稼ぐことは、国策としては一度失敗している。しかし外国の方々のニーズをしっかり把握し、正しくマッチングすることで、可能性は高まるはずだ。
日本の価値を下げないために、やるべきことはいくらでもあるはずだ。官民が力を入れてオールジャパンで取り組めば、必ず道は開けると信じている。