はじめのマイオピニオン - my opinion -
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ヨーロッパの宝物・チェコ

 私は長年にわたり、日本チェコ友好議員連盟の会長を務めている。実際、チェコの首都プラハには2回しか行ったことはないが、歴代の駐日チェコ大使との交流や、日本を訪れた議員との交流は、しばしば行ってきた。日本とチェコの国交樹立からは数年前に百年を迎えたところだ。

 チェコはヨーロッパ大陸の中央にある海なし国である。面積は北海道くらいで、人口も約一千万人ほどの小さな国だが、中欧と呼ばれる地域でも、「ヴィシェグラード・グループ」と称し、ポーランド、スロバキア、ハンガリーとともに、その構成国である。中欧の有力国であり、東欧の玄関口でもある。

 古くはハプスブルグ家の支配下になり、その後は隣国ドイツやポーランド、ハンガリーからの圧力を受けた。第一次大戦ではオーストリー・ハンガリー帝国、第二次大戦ではナチス・ドイツの支配下に置かれた。戦後はソ連の干渉を受け、1968年の民主化運動「プラハの春」の後、ソ連の軍事侵攻を受けたのはあまりにも有名だ。そして1989年のビロード革命により、現在の民主化されたチェコとスロバキアに至っている。

 このような激しい侵略の歴史をもちながらも、国民性は勤勉で穏やかであり、どこか日本と似ているところがある。スメタナやドボルザークなどの優れた音楽家、ミュシャ(現地ではムハ)の絵画やカフカの本もあまりにも有名である。文化や芸術を大切にする気風に溢れていることも日本との共通点がある。

 科学技術面でも国民のレベルは高く、日本の中堅製造業が270社も、当地に進出している。あまり知られていないが、ペチャックというチェコの空想科学作家の造語「ロボット」は、今や世界の普通名詞となっている。原爆ドームとなった広島県産業奨励館は、ヤン・レッツェルというチェコの設計士の手になるもので、今もプラハのブルタバ河畔にドームと瓜二つの、彼の設計による建物が建っている。

 ヨーロッパの他の国と同様、チェコでもスポーツといえばサッカーが第一の人気だが、最近は野球人口も増えており、今年のWBCの日本での予選では、サムライ・ジャパンを相手に6回まで得点を与えなかった、アマチュアのチームの活躍には驚いた。このように進取の気概を持っているのも、チェコの国民性のひとつかも知れない。

 超大国のエゴが剥き出しとなり、不安定化を増す世界情勢の中にあって、安定したヨーロッパの小国の存在は、実に貴重なものであり、それらの国々との交流は日本外交にとっても、価値あることである。

[ 2026.06.08 ]