「過ちを改めざる、これを過ちという」「過ちを改むるに憚ることなかれ」
これら論語の言葉は、刑事訴訟法における再審制度の精神的支柱である。しかるに袴田事件をはじめとする冤罪被害者を救済しようとしても、現行の再審制度では30年40年と長期にわたる。なぜなら検察の抗告権の多用により、裁判所の再審決定を遅らせることが出来るからだ。
直近、法制審議会が再審制度の見直し案を答申し、それを元にした法務省の刑事訴訟法の改正案が、自民党法務部会に示された。裁判所の再審決定手続きにおいて、検察側の抗告を原則禁止とするが、十分な理由がある時は認めるという、例外的規定が盛り込まれた。また法務省の修正案では、1年以内に決定する努力目標を設けたが、これでは検察の抗告という手段自体が残ってしまうことになる。
再審公判が行われ、無罪が言い渡された例はごく僅かだが、例えそうであっても、再審手続きが遅滞なく進むことは、司法制度に対する国民の信頼を繋ぎ込めることにつながる。また裁判所の再審判断は、当該事案の裁判に過去関わった裁判官を除斥するなど、慎重な手続きにより行ったものであり、検察はむしろ裁判所の再審判断と、その後の公判において、裁判所に協力する立場にあると言ってもいい過ぎではない。
その他、再審手続きにおけるスクリーニングや、再審公判における証拠の目的外使用の禁止を、大幅に抑制する必要もあるが、まずは検察抗告の禁止と例外規定の厳格な制限を設定することが肝心である。
一方で、党側の主張と法務省の見解が平行線を辿り、今国会での結論が得られない場合は、現行制度のままで時間が経過するだけである。政治的な智慧を働かせて両者が歩み寄り、少しでも現行の再審制度が改善するという道筋も模索する必要があるのではないか。