はじめのマイオピニオン - my opinion -
船田はじめが毎週月曜日に提言するメールマガジン。購読ご希望の方は下記フォームからお願いします。
天候改造の夢と現実

 『天候改造オペレーション』はアメリカの作家ベン・ボーヴァが、1972年に著したSF(サイエンス・フィクション)である。若き気象学者が天候改造の技術を開発し、国から実験を禁止されるも、民間企業と協力して実用化する。そこに国家や軍事組織が目をつけるが、最終的には国連のプロジェクトとして成功を収めるという筋書きだ。

 一方、昨日の党政調の科学技術イノベーション戦略調査会では、ムーンショット研究の目標の一つ、「激甚化する台風や豪雨を制御し、風水害の脅威から解放された安全な社会の実現」が取り上げられた。ムーンショット研究制度とは、現代社会の隘路を大胆で野心的な発想による研究開発で、克服しようとする試みである。

 この目標に取り組んでいる、千葉大学・環境リモートセンシング研究センターの小槻峻司教授が会議でプレゼンした。彼によると、ヨウ化銀を散布して雨を降らせる昔からの「人工降雨」技術から、豪雨や台風の強さを抑制する技術の開発に取り組んでいるとのこと。課題はその実証許可や他地域への影響把握、ひいては研究倫理に関することという。まさに50年前にボーヴァが著したSFに酷似しているのである。

 現在、天候改造に関する国際的取り決めは3つある。環境改変技術の軍事的・敵対的使用禁止条約(ENMOD条約、1978年発効)、生物多様性条約における環境改変技術の不使用(2010年のCOP)、ロンドン条約(海洋における環境改変技術規制、2008年)だが、その実際の適用や整備は発展途上にある。

環境改変技術(ジオエンジニアリング)
はまだまだ夢の技術だが、地球温暖化の影響により益々激甚化する気象をコントロールすることは、今後さらに重要度を増してくる。この研究を積極的に進めると同時に、リーズナブルな規制の枠組みも整えて、秩序あるジオエンジニアリングにしていきたい。

[ 2026.04.20 ]