はじめのマイオピニオン - my opinion -
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国連の価値

 去る10月24日は国連の日だった。1945年のこの日、当時のソ連が国連憲章の批准を行い、国連憲章が効力を発することとなり、国際連合がスタートした記念すべき日である。その後は第二次世界大戦後の世界のカタチを作るために、大いに力を発揮して、今年で創設80年を迎えた。

 現在の国連内の組織は、著名な安全保障理事会や経済社会理事会に始まり、専門・関連機関は26にも及ぶ。国連の役割に関する記念日は、3月8日の国連女性デーや11月5日のつなみの日など、実に222も指定されている。それだけ国連の守備範囲が拡大しているのだ。その結果現在の国連の1年間の予算は37億ドル(約6000億円)、職員数も約8万人に上る。

 一方、加盟各国の分担金を見ると、アメリカは22%、中国が15%、日本が8%、ドイツが6%と続く。各国のGDPの規模にほぼ比例した分担金だ。かつて日本は18%ほどを負担していたから、その凋落ぶりは残念ながら顕著である。最大の分担国アメリカが、第一次トランプ政権の時から国連の肥大化、非効率性、無駄遣いを批判しはじめ、ついに第二次政権では支払いを凍結してしまった。

 確かに国連の役割は重大だが、いくつかの報道に触れてみると、無駄が多いことも確かだろう。アメリカからの15億ドルが来なくなったため、にわかに資金ショートとなり、グテーレス事務総長は慌ててリストラや業務の削減に取り組んでいる。その方向性は決して間違いではなく、大いに推進してほしいのだが、一方でアメリカの国連関与が希薄になると、中国のプレゼンスが相対的に大きくなるという懸念もある。

 国連改革としてはこの肥大化を防ぎ、業務のスリム化を目指し、アメリカに戻ってもらうことが喫緊の課題だが、さらに安保理事会の組織を変えて、5理事国の拒否権が発動しにくい仕組みにすることや、旧敵国条項の廃止など、国連の果たすべき役割をより確実にして、国連の存在感を高める方策も忘れてはならない。

[ 2025.11.10 ]