日本は戦前の1910年に韓国併合を宣言してから、1945年の終戦に至るまで35年間、事実上韓国を植民地化していた。その間に創氏改名や慰安婦、徴用工などの問題が発生し、戦後の両国の間に深い影を落としてきたことは事実である。
それぞれの問題については政府や両国関係者の間で解決のために地道な努力をしてきた。ただ解決したかどうかの判断や評価について、両国の間で食い違いが生じており、今後も誠実な話し合いなど、なお一層の努力が必要である。
一方で1965年日韓基本条約が締結され、今年がそれから60年にあたる。同条約批准の際に行われた国会では、韓国との単独の講和か、ソ連や中国の後ろ盾を持った北朝鮮も含めた包括の講和かで、与野党間で大きな対立となり、特に衆議院本会議では議長職権により、混乱の中で可決成立された。
その時の衆議院議長は、実は私の祖父・船田中だったが、強行採決による国会の混乱の責任を取って、任期半ばで辞任した。その5年後には再び議長となり、今度は円満な議事運営に終始し、任期を全うすることが出来た。今の朝鮮半島の現状を鑑みるに、当時の与党の判断は正しかったと思う。
韓国政治は誰が大統領になるかによって、政策、特に対日政策が大きく左右される傾向にある。最近でも親日的な朴槿恵、尹錫悦、反日的な文在寅、そして今回の李在明の各大統領である。親日と反日が交互に顔を現すと言っても過言ではない。側近や周辺もそれにより大きく人事が異動することになる。
もちろん両国の努力により、揺れ幅は徐々に狭くなってきているが、さらなる安定した日韓関係が築けるように努力しなければならない。李在明・新大統領には、日韓関係を感情ではなく、理性的に対処していただきたい。我々も「近くて遠い国から、近くて近い国へ」をスローガンに努力したい。