はじめのマイオピニオン - my opinion -
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表現の自由とネット社会

 憲法第19条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と述べ、第21条では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と述べている。それぞれが独立した人権を規定している。しかし19条を深く読み解いてみると、「思想・良心の自由」を実現するには、その形成過程も自由で自律的、公正な環境でなければならないことになる。

 思想や良心の形成過程に働きかける手段は、言論や出版その他の一切の表現によるところが大きいが、それを何の制限もなく自由にすると、思想・良心を自由で公正に保つことは難しくなる。

 昨年の東京都知事選挙や兵庫知事選挙では、候補者やその周辺がSNSによるPR活動を盛んに行い、その中にはフェイクニュースに類する情報もかなり含まれていたという。またそのことにより、選挙の結果が左右された可能性が指摘されている。その後、各党間において公職選挙法の改正の必要性が認識され、ネットを利用した選挙運動について、何らかのチェックや制限を加えるべきという意見も出ている。

 私がいま関わっている憲法改正国民投票運動のあり方においても、ネットによる運動のあり方が議論されている。確かに公職選挙法は、候補者や政党を選ぶ運動を規制するという厳しい側面があり、一方の国民投票法は、憲法という最高位の政策を撰ぶ運動のため、出来るだけ自由闊達に議論する必要があり、かなり自由な立て付けになっている。しかしそれでも、ネット上のフェイクニュースや外国勢力により間違った世論が形成されることは避けなければならない。

 厳しい意見にはフェイクニュースを流布した者に対して罰則を課すものもあるが、その把握はなかなか難しい。常識的には、民間のファクトチェック団体の力を借り、憲法改正発議時に国会に置かれる広報協議会が、注意を喚起する仕組みが妥当ではないかと考える。もちろん若い世代を中心に、SNSの記事などを鵜呑みにしないなど、情報リテラシーを高めてもらう必要もある。

 我々はこれからも、公職の選挙ばかりでなく、憲法改正のための国民投票においても、健全な意思決定や良心の形成過程を維持していくための努力を、しっかり行って行かなければならない。

[ 2025.04.28 ]