はじめのマイオピニオン - my opinion -
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グリーンランドの価値

 グリーンランドとはどこにあるか、分かる方はかなり地理に詳しい方だ。カナダの北東近くにある世界最大の島で、そのほとんどが北極圏内にある。名前からして緑に覆われた島かと思いきや、そのほとんどが雪と氷に閉ざされた、真っ白な島である。

 グリーンランドは厳しい自然環境のため、人口はとても少ない。日本の6倍の土地にわずか6万人しか住んでない。しかし多くの鉱物資源が埋蔵されており、しかもほとんど手付かずなので、経済的価値はとても高いと言われている。現在はデンマーク領の自治区だが、国際政治の表舞台に出たことはなかった。

 ところが最近、俄かに脚光を浴びる島になっている。言うまでもなくトランプ大統領が、突然グリーンランドを購入すると言い出したからだ。豊富な鉱物の採掘権獲得という目的があるようだが、もう一つ安全保障上の要衝でもあるからだと言われる。我々が見慣れた地図は北を上にしたものだが、北極から眺めるとグリーンランドの先にはアイスランド、バルト海、北極航路、スカンディナビア半島がある。

 特に北極航路は最近の温暖化の影響で、冬でも凍結しないため、船舶航行が可能となった。それを専ら利用しているのがロシアである。グリーンランドの所有はまさに、ロシアに対する戦略的カードを持つことを意味すると共に、北ヨーロッパの安全保障を左右する要衝でもある。

 トランプ大統領は就任直後にグリーンランド買収を口にしたが、その後さらなる情報は入ってきていない。あらゆる分野でトランプショックが続いているのだが、多くの人が気付かなかった地政学的なポイントを、彼の言動によって気付かされるという効用?!も、一方ではあるようだ。

[ 2025.03.17 ]