はじめのマイオピニオン - my opinion -
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来たる通常国会に向けて

 穏やかな新年を迎え、お屠蘇気分をもう少し味わいたい気持ちだが、今月下旬に店開きする通常国会の行末を想起すると、一気に酔いが覚めてしまう。言うまでもなく、少数与党として迎える初めての本格国会だからだ。

 昨年末の臨時国会では、国民民主党と「103万円の壁」を引き上げることで合意し、補正予算案の可決成立を見ることができた。しかしその上げ幅をめぐり意見の隔たりは大きく、最終合意がなければ、新年度予算の衆議院通過は見通せない。国民民主党の主張する178万円までの引き上げは、巨額の税収減をもたらすことになり、その手前での決着が可能かどうか、知恵を出さなければならない。

 一方で日本維新の会は、教育の無償化を与党に持ちかけている。共同代表の吉村大阪府知事は、お膝元で所得制限なしの高校無償化を全国に先駆けて実現してきた。そもそも教育無償化と言っても大変幅の広い話になるが、高校無償化に対象を限定すれば実現可能性は高まる。決して天秤にかけるつもりはないが、国民民主に加えて、維新とも政策上の合意点が見出せる可能性が出てきた。

 臨時国会における政治改革法案の審議の中でも、自民党がこだわった政策活動費の一部存続を、野党の反発を受けて撤回したり、公明党と国民民主党が提案した、政治資金を第三者的に監視する機関を国会に設置したりすることも、自民党は飲み込んでいる。

 このように各党との議論には時間がかかるが、野党との協議を真摯に行い一致点を見出すことにより、少数与党であっても長丁場の国会を乗り切ることは決して不可能ではないはずである。さらにメリットとしては、頑なに原案を押し通そうとする、これまでの与党の姿勢が修正されるとともに、野党にとっても最初から反対ありきでなく、現実的に受け入れられる政策は何かを模索する機会が生まれてくる。

 万年与党としての奢りを捨て、万年野党としての対決姿勢を柔らかくして、「熟議の国会」が生まれようとしている状況は、日本の議会制民主主義にとって決して悪いことではないはずである。もちろんブラックボックスでの合意や、理屈を度外視した単なる妥協が許されないことは当然である。国民の皆さんからは与野党間の話し合いをしっかり監視していただくとともに、結論が出るまでの一定の時間を、焦らずにお待ちいただければ幸いである。

[ 2025.01.06 ]