政府としては、2030年にCO2の発生量を2013年に比して46%削減するという、意欲的な目標を国際公約しているが、それを実現するための電源構成(エネルギーミックス)を第7次エネルギー基本計画に盛り込まなければならない。
2023年の電源構成は化石燃料が70%、原子力が5%、再生可能エネルギーが25%である。46%削減にするには化石燃料が40%程度、原子力が20~22%、再生可能エネルギーが36~38%にしなければならない。
再生可能エネルギーの大幅増加もなかなか大変だが、太陽光や風力は発電量を一定にすることが難しい。その点原子力発電は一定の水準を維持することが可能であり、「ベースロード電源」と言われる所以である。
しかしいうまでもなく原発は、東日本大震災における福島第一原発のメルトダウンにより、すべての原発が稼働停止となった。厳しい安全基準に適合した原発はまだ9基にとどまっており、将来の電源構成20%を達成するには、あと25基程度の稼働を必要としている。
ところが最近の日本経済新聞に、原子力あるいは原子力発電関連の大学学部に入学する学生が、ピーク時の2、3割に激減しているという。またこの分野の学部そのものを廃止する大学も出てきたという。原発を安全に稼働し続けるためにも、まだ完成していない廃炉技術の開発のためにも、この人材不足は大変深刻である。
福島第一原発事故をきっかけとして、ヨーロッパではまずドイツが昨年、原発ゼロを達成した。しかし再生可能エネルギーの能力や普及の限界から、原発の技術だけは残しておくべきだという世論も高まっているようだ。また脱原発を目指そうとした他のヨーロッパ諸国も、足並みは乱れてきているようだ。
日本政府は原発の再稼働や、老朽原発のリプレースなどを、安全性を第一に掲げつつ、国策としてぶれずに進めていく必要がある。そしてそれを支える人材をきちんと確保するべきである。