先週6月23日に閉幕した第213回通常国会は、いわゆる「裏金問題」で荒れに荒れた国会だった。自民党はこのことで野党から叩かれっぱなし、国民からの不信を買うこととなり、岸田内閣の支持率は低迷を続けている。その影響をまともに受けて、衆議院補欠選挙や静岡県知事選挙など、軒並み自民党候補や支援を受けた候補が落選の憂き目にあってしまった。大いに反省しなければならない
自民党内では政治改革本部が早い段階から設置され、政治資金の透明性や責任の所在の明確化が議論され、政治資金規正法の改正案を成立させることができた。しかし政治活動には一定のお金がかかり、それを確保しなければならないという現実の課題と、あくまで政治資金は透明でなければならないという理想の狭間で苦しみ、自民党の改革案は提出も遅れ、中身も十分ではなかった。今後も政治改革の残された課題に真剣に取り組み、国民の信頼を取り戻さなければならない。
ところが国会終了後、岸田総理に対して身内から退陣を迫る発言や、その責任を問う発言が飛び出した。またそれは9月の自民党総裁選挙を睨んで、アドバルーンを挙げるという意味合いを持つ。しかし私が見たところ、岸田総理は一連の政治改革の動きの中で、常に率先して動いてきたと思う。政治改革案の取りまとめでも公明党や維新の会との交渉に汗をかき、自らの派閥である名門・宏池会を真っ先に解散し、政治倫理審査会にも率先して出席し、5人組の出席を促すきっかけを作った。政治改革に不熱心であるとか、責任をとってないとの批判は当たらない。
選挙の顔にならないとの指摘もあるが、東京都知事選挙の真っ最中で、都議補選に全力集中の時でもある。今後の選挙も必死に取り組む姿勢が大切であり、今言うべきことではない。またこの時期に内輪揉めしているような姿は見苦しい。求心力を無くしたとか、まとまりがないという姿を有権者に見せてしまうことは、決して選挙のプラスにはならない。アドバルーンを上げたい気持ちはわかるが、今はまだその時期ではない。
また岸田総理は、実はこれまでに相当な成果を挙げている。防衛予算の大幅増額は歴代内閣がなしえなかったことだ。子ども・子育て予算の増額、経済安全保障の枠組み構築も然りである。残念なのはそれらの成果を、マスコミはじめ多くの人が忘れてしまっている。またそれを知らしめるべき側近の存在も希薄である。まだまだ売り出す価値のある岸田総理である。
自民党としても、折角政治改革法案が通ったのだから、それを着実に実行するための仕組みや組織を作ることや、残された課題について与党内や各党間で議論検討の場を設けることを着実にやり、信頼回復のための一歩を踏み出すべきである。