「AIが人間の能力を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が2045年にやってくる」と、AI研究の権威であるレイ・カーツワィル氏が指摘してからかなり時間が経過した。また現在ある仕事のうち、5割がAIに取って代わられると総務省通信白書は指摘している。具体的にはタクシー運転手、警備員、一般事務など。逆に残る仕事は医者、弁護士、教師、営業マンなどと言われる。AIが人類社会を乗っ取っていく姿が想像される。
一昨年12月にマイクロソフトの支援を受けるオープンAIが、Chat GDPをセンセーショナルに発表してから急速にAIが進化し、我々の身近にひたひたと迫ってきた。その後も生成AIの進化により、架空の映像や音声が巧妙に作成されることが容易になっている。VRの世界がリアルな世界を凌駕し駆逐するのではないかとも思われる。フェイク・ニュースや本人なりすましなどの現象も顕著になった。
その結果、間違った世論が形成されたり、著作権や知的財産が侵害されたり、個人情報が勝手に変更されて、人権が侵されるケースが急増しかねない。AIが人類を進歩させるとか、豊かな社会や生活を創造するという、プラスイメージ、性善説のAIではなくなってきつつある。
もちろん我々はAIを恐れたり毛嫌いすべきではなく、それとの共存を目指しながら、AIに取って代わられない創造的な仕事や人間を育成していく必要がある。同時にAIの秩序ある開発や利用のあり方に、何らかのルールを構築する必要がある。