はじめのマイオピニオン - my opinion -
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都市公園の緑が危ない

 私は1年半前に明治神宮外苑の再開発計画に疑問を持ち、超党派の「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」を立ち上げた。現在加盟する議員は26名となり、これまでに7、8回ほど総会を開催し、現地視察するなど、反対団体との連携を図りながら、一定の役割を果たしてしたと自負している。また音楽家の故坂本龍一さん、作家の村上春樹さん、サザン・オールスターズの桑田佳祐さんら著名人の皆様からも、様々な形で反対の狼煙をあげていただいた。

 このような反対運動や気運の高まりで、神宮第二球場は解体されたものの、多くの樹木の伐採は一旦ストップしている。この夏の都知事選挙後の伐採再開に警戒しつつ、私たちは今後も再開発の問題点を洗い出し、大幅な設計変更を含めた開発計画の見直しを求めて、東京都や関係自治体、開発事業者に働きかけを続けていかなければならない。

 一方、同じ都市公園である日比谷公園の緑も危機に直面している。公園の反対側で進んでいる内幸町再開発事業の一環として、都道409号の上を2本の渡り廊下(ペデストリアン・デッキ)で繋ぎ、日比谷公園自体を中庭化するもので、古い樹木1,000本の伐採に加え、由緒ある噴水の移動まで計画している。葛西臨海公園では敷地内の水族園の改修や増設のため、公園の一部の緑の伐採を計画している。神戸王子公園では、その一部を関西大学に売却して、公園機能の縮小を目論んでいる。

 なぜこのように立て続けに、都市公園の緑が危機に瀕しているのだろうか。1956年に制定された都市公園法は、都市公園の設置及び管理に関する基準を定めて、都市公園の健全な発展を図り、公共の福祉の増進に資することを目的として制定された。したがって公園内に建物を建てる時は、福祉関係のみを許容し、それ以外は厳しく制限されていた。

 ところが2017年に都市公園法が改正され、PARK-PFIと呼ばれる公募設置管理制度、すなわち公園に施設を設置して運営する、民間事業者を公募により選定する制度が導入された。これにより都市に賑わいを取り戻したり、インバウンド対応で商機を増やしたい民間事業者に、都市公園を作り替える余地を与えてしまった。また都市公園を管理してきた自治体は、民間のやることだからと、責任を転嫁するようになってしまった。

 先日私は、全国の都市公園の緑を守ろうとする団体の方々に会った。彼らは緑が市民の共有財産、公共財産であるという認識が、日本人は欧米に比べて希薄であること。また公園の緑を守る手立てが、非常に限られていることを指摘した。そして今後も続くであろう都市公園の危機を回避するために、次のような提案をもらった。

 すなわち環境アセスメントやパブコメを開発許可の前に必ず持ってきて、お座なりで形式的なものにしないこと。「個人施工」の名に借りて都市計画決定の手続きをかいくぐる手法が横行しており、個人施工であっても一定規模以上の案件はその手続きを省略せず、自由に再開発できないようにすること。もちろんPark-PFI制度の見直しをすべく、都市公園法改正を行うことなどである。超党派議連としても、このような法改正や制度改正を模索する取り組みを、積極的に展開していきたい。

[ 2024.02.12 ]