はじめのマイオピニオン - my opinion -
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映画「シェアの法則」に見る多様性

 宇都宮市出身でとちぎ未来大使の岩瀬顕子さんは、女優、舞台俳優、劇団主宰、脚本家というマルチの活躍をしている。この度、あるシェアハウスで展開される人間模様を見事に描いた映画「シェアの法則」が、彼女の脚本により完成し、あちこちで上映された。自らもバイプレーヤーとして出演している。

 私は映画化される前の舞台を鑑賞しているが、映画では登場人物の細かい表情や仕草がより丁寧に捉えられており、一層感動を覚えた。とあるシェアハウスに棲む7、8名が織りなすドラマで、入院中の大家の奥様に代わって、税理士で堅物の夫が様々なトラブルに巻き込まれながらも、多様な住人に対して親身になって世話をしていくという、温かみのある映画である。

 この映画のテーマは人間の多様性であり、その多様性を受け入れることで、人々は楽しく有意義に暮らしていけるという教訓を含んでいる。さらにその教訓は、シェアハウスという狭い空間を超えて、日本社会における多様性を受容する大切さ、さらには世界の様々な文化や民族の多様性を受け入れる大切さを、語っているように思える。

 一年半に及ぶロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの衝突激化が懸念される世界情勢があるが、もし人類にもう少し多様性への理解や容認の心があったとすれば、これらの問題は起こらなかったか、起こってもここまでには至らなかったのではないか。

 映画や演劇が発するメッセージはとても小さいものかもしれない。しかしそのメッセージを受けた人々が周囲に伝えることによって、やがて大きな波になることがありうる。この波は過去にも幾つかのケースとして確かめられる。だからこそ映画・演劇は、真っ当な社会を作るソフトパワーとして守っていかなければならない。

[ 2023.11.06 ]