はじめのマイオピニオン - my opinion -
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再び減税論に疑問符

 いよいよ臨時国会が開会された。額賀新衆議院議長の開会式での手順ミスもあったが、ほぼ順調に滑り出した。物価高騰などへの対処を盛り込む今年度補正予算案の審議、賃上げの継続、旧統一協会問題などが議論の中心になる予定だ。衆議院解散の時期も絡むかもしれない。

 その中で私が注目しているのは、税収の上振れ分をどうやって国民に還元していくかである。岸田総理が国民への「還元」を口に出してから、俄かに脚光を浴びている。確かにコロナ禍からの脱却や名目による指標のアップのため、令和4年度、5年度ともに5兆円増収になると予想される。そうした中、定額の所得税減税というアイデアが、政府与党内で検討されはじめた。

 しかし私は以下の理由で、その実施には慎重であるべきと考える。

①防衛費増額を賄うための増税や、こども子育て予算の増加を賄うための財政措置を前にして、期限付きで小規模の所得税減税の効果は極めて限定的である。また効果が現れるまで相当な時間を要する。
②増収分の国民還元を迅速に行うのだとしたら、住民税非課税世帯を中心に、特別の給付金で対応すべきではないか。
③増収分を①で述べた将来の増税原資の一部に充てることにより、増税感を和らげる効果を持たせるべきではないか。
④当面の物価高に対しては、ガソリンや電気料金など燃料価格への補助の延長、小麦の受け渡し価格の特例延長、地方創生臨時交付金の大幅増額などに重点を置いて対応すべきではないか。
④増収分で赤字国債を減らし、ゼロ金利・低金利の呪縛から逃れられない政府の金利政策を、変えていく切っ掛けにすべきではないか。

[ 2023.10.23 ]