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税収増と国民への「還元」

 昨年も今年も、毎年5兆円にのぼる税収増が見込まれている。コロナ禍からの日常活動の回復や資材の高騰によるものと思われるが、政府にとって想定外のボーナスを得たような感覚である。この税収増分の使い道を巡って、政府や党内では議論が賑やかになっている。

 岸田総理はいち早く9月末に、「税収増については国民に還元しなければならない」と発言したが、この「還元」が減税を意図したものとして、自民党幹部からは減税への期待が高まった。ある人は所得税や法人税の減税を唱え、ある人は消費税の減税まで唱えている。足元の物価高を考えると、国民に幅広く影響する減税をを行うことにより、その支持を取り付ける思惑が働くのは無理からぬことである。

 しかし減税の効果は一時的なものに留まり、支持率を回復させるだけのパワーを持っているかどうかは、疑問の残るところだ。確かに目先の生活には助かるものの、その先にある子育て支援や防衛費大幅増を賄うための増税が待ち構えているからである。国民は既にそれを見通している。

 増収分はむしろ将来の財源確保に専ら使うことにより、これから行われるであろう増税を極力圧縮することが可能になる。これも立派な国民への還元措置である。政府の財政運営は一時的なメリットを追い求めるのではなく、中長期的視野に立ち、何が国民生活をより潤すことになるかを慎重に見極めて行っていくべきではないだろうか。

[ 2023.10.09 ]