はじめのマイオピニオン - my opinion -
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祭りの復活に思う

 2020年から3年強にわたって猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症は、ようやく落ち着きを見せ、感染症分類も2類から5類に格下げされた。とは言え、完全にゼロになったわけではなく、足元では感染者の増加も見られる。引き続き感染防止に気をつけながら、日常生活を取り戻していきたい。

 そうした中、日本の各地では伝統のお祭りが、4年ぶりに続々と復活している。私の地元宇都宮でも、京都祇園祭を淵源とした「須賀神社天王祭」の神輿渡御が先週開催され、各町内自慢の神輿が街中を練り歩いた。私は直接神輿を担ぐことはなかったが、担ぎ手の多くは4年ぶりの祭りを喜び、酔いしれていた。

 ところが全国のお祭りでは最近、色々な不都合が生じている。4年ぶりのお祭りのため、準備や段取りを忘れてしまった人も多い。また自治会によってはコロナ以前の祭りに関わっていた人が、皆交代してしまって、過去はどんな祭りだったか、何を準備すれば良いか、昔の写真を頼りに見よう見まねで対応するケースも多いという。

 深刻なのは、このような不慣れや段取りの誤りによって、いくつかの事故が発生していることだ。今年4月には堺市のだんじりが、「やり回し」の最中に山車が倒れ、引き手の11人が重軽傷を負う事故となった。今月の博多祇園山笠祭りでは、山車に轢かれて54歳男性が死亡している。これらを受けて、だんじり祭廃止論まで出る始末である。

 話は変わるが、小型の衛星の打ち上げを低コストで行えるJAXAが開発したイプシロンロケットは、燃焼実験で二段目が爆発。去年もイプシロンは失敗している。H3ロケットも第二段目に点火せず失敗。3回続けての失敗はこれまであまり例がない。これも4年ぶりのお祭りと同様、段取りを間違えたり、熟練の技術者が交代してしまったという事情があるのかもしれない。伝統も革新もいずれも、段取りや手順が大切というのは、とても興味深いことである。

[ 2023.07.24 ]