はじめのマイオピニオン - my opinion -
船田はじめが毎週月曜日に提言するメールマガジン。購読ご希望の方は下記フォームからお願いします。
お名前
メールアドレス
    配信停止申込
自民党は奢ってはならない

 この度のG7広島サミットは、原爆被曝地での初の開催となった。先進国首脳が揃って原爆資料館を訪れ、甚大な被害の実相を見るという画期的な機会となった。核廃絶や核軍縮にまで議論は至らなかったが、核保有国としての責任の重さを自覚することにはなったはずである。

 さらにはウクライナのゼレンスキー大統領が、オンラインでなくリアルに来日したことは驚きだった。この紛争に対するG7としての結束を再確認するには、余りあるチャンスを与えてくれたし、ゼレンスキー大統領も先進各国から予想以上の軍事支援の約束を取り付けることができた。中立を維持している「グローバルサウス」にも、一定のアピールができたのではないか。

 G7の一連の成果により、内閣支持率は軒並み数%上昇しており、先週あたりから早期解散の機運が出てきた。支持率の高いうちに選挙をして、総裁再選に結びつけようとする思惑。統一地方選で勢いを見せた維新が、全国に候補を用意しないうちに、また少子化対策や防衛費増のための国民負担を上げる前に、解散して逃げ切ろうという思惑。しかしこの度解散となれば、大義名分は希薄だし、党利党略と言われても仕方がないだろう。

 ところがここに来て、解散機運に冷や水を浴びせる事態が起こった。岸田総理の秘書官を務めるご長男が、総理大臣公邸で私的なパーティを開いたことが発覚。さらに深刻なのは、衆議院小選挙区が東京で25から30に増加するに伴い、公明党が既に決まっている29区に加えて、28区からも立候補させたいとして、自民・公明両党間で激しい対立となった。

 公明党側は28区からの擁立を断念したようだが、その余波を受けて東京での自民党候補への推薦をしないことも決まってしまった。もしこの動きが東京にとどまらず、全国に波及すれば自民党の議席が大幅に減ることは間違いない。さらに連立解消に繋がりかねない。自民党内では「元々違う政党だし、そろそろ潮時では」と無定見な発言をする人もいるが、この4半世紀、苦楽を共にしてきた政党に誠に失礼千万な発言ではないか。私は連立のメリットを今後とも大事にしていきたい。

 衆議院の解散・総選挙は総理大臣の専権事項であることには異論はない。しかしこのようなグズグスの状況で解散することは自殺行為に等しく、国民に説明できる大義名分もない。今後の国民負担増の議論から逃げるような行為は、却って国民から見透かされ、支持を失うことになりかねない。身辺を正し、緊張感を持って、国民負担増の必要性を正面からきちんと説明した上で、堂々と解散・総選挙で国民に信を問うべきではないか。

[ 2023.05.29 ]