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明治神宮外苑再開発に再びNO!

 テクノポップの走りで一世を風靡したYMOメンバー、そして独自の音楽を追求して世界的ミュージシャンとなった坂本龍一さんが、先月末71歳で亡くなられた。大ヒット映画『戦場のメリークリスマス』ではテーマ曲を作曲したばかりか、俳優としても好演し、デヴィッド・ボウイとの抱擁シーンは話題を呼んだ。

 その後も旧満州国を舞台とした『ラストエンペラー』にも壮大な音楽を提供し、アカデミー賞を総なめしている。その坂本龍一さんは、環境保護にも関心を持ち、積極的に運動してきたことでも名高い。今回の神宮外苑再開発についても、病床から反対を表明し、小池東京都知事にも書簡を送ったことで話題となった。

 その3週間後に亡くなられたことは、誠に残念至極だ。彼にとっては最後に公に発した言葉であり、遺言だったと言っても行き過ぎではないだろう。彼の言動がこの再開発問題に光を与えてくれたことは間違いなく、あらためてご冥福をお祈りするとともに、ご遺志を受け継がなければならないことは言うまでもない。

 小池知事は反対運動を懸念して、最近「多くの都民が反対している。植樹イベント開催して理解を得られるよう」と、デベロッパーの三井不動産に対し、開催を促した。ようやく動いたかに見えるが、植樹イベントなどでこの問題が片付けられるはずもない。全く姑息な手段としか言いようがない。

 再開発計画によると、合わせて3000本近い樹木が伐採されることになる。中には100年を超える大木もある。100年前に明治天皇のご遺徳を顕彰する目的で、無料奉仕で植えられた木もある。ただの樹木ではないのだ。新たに植樹したからといって、この緑を取り戻すことには決してならない。

 特に私が要望したいのは、樹木の伐採が増える原因である、神宮球場と秩父宮ラグビー場の交換と建て替えだ。建て替えに伴う空白時間を最小限にする手段のようだが、現在地でそれぞれ改修すれば、むしろ空白は最小限になるはずだ。甲子園球場は春夏の高校野球や阪神タイガーズの試合に使いながらも、見事に改修できたではないか。

 また「良好なスポーツゾーンの整備」と言いながら、オフィス床面積は全体の7割を超える。現存する第二野球場やゴルフ練習場、草野球場は無くなってしまう。多くの都民が利用できる施設がなくなり、一部の人々が利用する高級テニスクラブのみが、絵画館前に陣取るのは如何なものか。

 坂本龍一さんが声を上げ、直後に亡くなられたことで、多くの方々がこの問題に目を向けてくれることとなった。この勢いを反対運動で連帯していただいている皆さんや、我々超党派反対議員連盟の活動に、しっかりと生かしていかなければならない。

[ 2023.04.10 ]