はじめのマイオピニオン - my opinion -
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日韓関係の改善を歓迎する

1990年代に慰安婦問題をきっかけに悪化していた日韓関係は、村山談話や河野談話による謝罪表明を経て、2000年代にかけてようやく良好になった。これを背景として、特に韓国のTVドラマが日本人にも熱狂的に受け入れられ、「冬ソナブーム」などという現象も現れた。

ところが2010年代になると竹島問題や徴用工問題が加熱して、両国関係は戦後最悪と呼ばれるようになってしまった。文在寅大統領はむしろそれを利用して、支持率低迷挽回を図ろうとしたため、状況はますます悪化した。GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の停止、半導体生産に欠かせない重要化学物資の禁輸、ホワイト国待遇からの除外など、制度的問題にも発展した。

しかし中国や北朝鮮の軍拡や挑戦的態度により、両国を取り巻く安保環境は極めて厳しくなり、日米韓の緊密な連携なくしては対処できない状況に陥った。この事態を受けて韓国は、尹錫悦大統領の誕生とともに軌道修正に着手し、徴用工に対する賠償金の支払い問題の解決を急いだ。

具体的には韓国の鉄鋼大手のポスコなどが出資した「日帝強制動員被害者支援財団」から支払い、日本企業には肩代わりさせないという方法だ。厳めしい財団の名前だが、それほど恨みが蓄積していると認識すべきである。なお国内では元徴用工の人々はじめ反対は残るが、政治的には解決済みと見做して正常化に舵を切った。

日本側の事情も同様であり、去る3月16日の尹大統領訪日を受け入れて、本格的な正常化に向けて歩み出した。実はこの間、変わらずに両国の交流を続けてきたのが日韓議員連盟である。政府同士がほとんど話し合いや連絡を取り合わない時期も、連盟同士の交流は続けられた。決定的な関係断絶には至らなかったのは、この議員連盟の功績ともいえよう。

今後は安全保障における協力は言うまでもなく、半導体供給の強化やサプライチェーンの構築に両国が協力し合わなければならない。そして本物の未来志向の関係を築かなければならない。しかしその前提には常に過去の反省を踏まえていかなければならない。党内には「いつまで謝ったらいいのだ」と主張する向きもあるが、歴史上の恨みは容易に消えるものではなく、今後も背負っていかなければならない。

[ 2023.03.20 ]